新型コロナウイルス感染症対策として「新しい生活様式」など、いままで以上の感染予防を考えた生活への変化が求めらている中、健康への意識がより強くなった方も多いと思います。
これから先どんな感染症が起きても、どんな働き方になっても、健康的な身体を維持するためには食生活、運動、睡眠などの生活習慣を整えることが大切です。
どのような生活習慣を身につけることが健康づくりに効果的なのか、そのポイントをご紹介します。
日本人の死因で多い病気は?
日本人の死因の約半数を占める病気が、悪性新生物(がん)、心疾患(心臓病)、脳血管疾患(脳卒中)です。
日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)です。2位の心疾患(心臓病)と4位の脳血管疾患(脳卒中)は、高血圧や高血糖、脂質異常などによる動脈硬化(血管の老化現象)が原因で発症する「循環器病」です。
生活習慣と病気は関係あるの?
健康によくない生活習慣を続けると、体に様々な影響を与え、重大な病気につながります。
運動不足や栄養バランスの乱れた食生活、夜更かしによる睡眠不足、喫煙や飲酒などの生活習慣によって引き起こされる病気の総称を「生活習慣病」といい、がんや心臓病、脳卒中などのほか糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などがあります。
近年では、ウイルスや細菌などによる「感染性」に対して、生活習慣によって発症する病気を「非感染性疾患」というようになってきています。
死亡の原因になりやすい生活習慣は?
特に注意が必要なのは喫煙です。また運動不足も病気や死亡の原因に関係しています。
喫煙は、がんだけでなく、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳卒中などの循環器の病気や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器の病気の原因でもあります。運動不足に関連した死亡者数は年間5万人以上もいます。
下記のグラフは死亡の原因になりやすい生活習慣を調べたものです。これらの生活習慣を予防することが健康づくりにつながります。
がんは治らないの?なぜ、亡くなる人が多いの?
医療の進歩で約6割の人が治っています。がんで亡くなる人が多いのは日本人の平均寿命が延びたことが関係しています。
がんになったら治らないイメージがあるかもしれませんが、医療の進歩でがんと診断された人の生存率も延びています。
2009年から2011年にがんと診断され人の5年後に生存している割合は男性62.0%、女性66.9%になっています。(参考元:国立がん研究センターがん情報サービス)
がんで亡くなる人が多い一番の要因は日本人の高齢化が進んだことです。がんは生活習慣病ですが、発症の最大の原因は細胞の老化です。長生きをすれば誰もががんを発症する可能性があります。
早期発見、早期治療が大切です。
がんの「早期発見」ってどのくらいの時期?
「早期」の目安はがん細胞の大きさが1~2cm程度です。
検診でがんが発見できるようになるのはがんの大きさが1cmくらいになってからです。また、早期がんとされる大きさは2cmくらいまでです。がんが1~2cmに成長するまでの時間は、およそ1年半しかありません。そのために定期的に検診を受けないと、早期の時期に見逃すおそれがります。
「特定健診」は普通の健康診断と何が違うの?
特定健康診査(特定健診)はおもにメタボリックシンドローム(メタボ)を予防・改善するための健診です。生活習慣病の予防・早期発見につながります。
メタボは生活習慣病の元凶の一つです。現在、40歳以上の男性の2人に1人、女性は5人に1人がメタボかその予備群といわれています。そこで、40~75歳未満の男女を対象に特定健診・特定保健指導が行われています。
「メタボ」って”太りすぎ”ということ?
「メタボ」は単なる”太りすぎ”ではなく、糖尿病をはじめとする生活習慣病の前段階の状態を示すものです。
メタボは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常の2つ以上があてはまる状態のことをいいます。メタボになると、動脈硬化が急速に進み、心臓病や脳卒中などになる危険が格段に高まります。
メタボの予防のためには、内臓脂肪型の予防と解消が重要になります。
「肥満」かどうかはどうやって判断するの?
BMIが25以上は肥満です。
健康診断で、肥満を判定する指標の一つとして利用されているのが、BMI(Body Mass Index)です。BMIの上昇とともに死亡リスクが上昇するとされています。もっとも病気にかかりにくい標準体重はBMI22といわれています。
自分の体重が適正な範囲内かどうかはBMIの計算方法で調べることができます。
痩せていれば心配ないの?
痩せすぎで脂肪が少なすぎると、様々な症状を引き起こしやすくなります。
女性や高齢者では低体重も問題になっていて、とくに若い女性は、さまざまな問題が起こる危険が高まることがわかっています。また、高齢者の場合は、摂取エネルギーの不足から筋力が低下し、転倒や寝たきりの原因となる危険性があります。
脂肪は、体温維持や身体中へのビタミン運搬、性ホルモンの調節など、大切な役割を持っています。健康のためには、過度なダイエットは控え、適正な体重を維持するように心がけましょう。
動脈硬化と病気の関係は?
動脈硬化は心臓病や脳卒中などの深刻な病気を起こす原因になります。
動脈硬化とは、血管(動脈)の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きがわるくなる状態をいいます。進行すると、血栓や潰瘍がつくるられる原因になり、心臓病や脳卒中などが起こります。
健康でも健診は必要なの?
生活習慣病は自覚症状がないことが多いから、定期的に健康診断を受けることが必要です。
症状の無い病気を早期に発見するには、定期的な健康診断(健診)を受けることが大切です。自覚症状の無い初期の段階で異常を発見することで、体だけでなく、治療費などの負担も軽減できます。
また、生活習慣の問題点を自覚し、改善に取り組むきっかけにもなります。
健康寿命と平均寿命の違いは?
健康寿命とは、日常生活を制限されることなく健康的に生活を送ることのできる期間のことです。
健康寿命とは、日常生活を制限されることなく(介護や入院の必要がない)健康的で自立した生活が送れる期間のことです。日本人の平均寿命は男女ともに80歳代、健康寿命は70歳代です。平均寿命と健康寿命には10年前後の差があります。この10年前後の期間は日常生活に制限がある(介護や入院が必要である)ということになります。
平均寿命を超え長生きをしたとしても、長期間にわたり介護や入院が必要であれば、健康寿命は短いということになります。
健康寿命を延ばすためには?
若いうちから健康を意識した生活習慣を送ることが大切です。
日本人の平均寿命は年々延びており「人生100年時代」ともいわれています。平均寿命が長いのは良いことですが、大切なのは健康寿命を延ばすことです。そのためには、若いうちから健康を意識した生活習慣を送ることが大切です。
高齢期の健康づくりに大切なことは?
身体の健康だけではなく、こころの健康も重要です。
高齢期においても、散歩などにより適度な運動をおこない、健康・体力を保持・増進することが大切です。
また、世界保健機関(WHO)は健康を次のように定義しています。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」
引用:公益社団法人 日本WHO協会
高齢期には、身体の健康のみならず、こころの健康がいきいきと暮らしていくためには必要です。高齢になると家に閉じこもりがちになりやすいですが、地域の中で若い世代との交流の機会を持ったり、趣味の活動を通じて社会とかかわることが大切です。
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